ものづくりオープンメソッド IAMAS・岐阜高専連携講座 「ラピッドプロトタイピングとアーカイブ」ワークショップを行いました。
近年、ラピッドプロトタイピングを 取り入れたデザイン手法による開発 が注目されており、レーザーカッターや3Dプリンタなどのファブリケーションツールを用いた個人によるものづくりが普及しつつあります。それに伴って、制作したモノや制作のプロセスを記録 (アーカイブ)して他者と共有することも重要になってきています。
今回のワークショップでは、ある程度コンピュータでの作画に慣れたユーザーを対象にして、Craft Roboやレーザーカッターを用いて、実際にラピッドプロトタイピングを行うワークショップを行いました。また同時に、その制作プロセスを段階的に記録し、蓄積されデータをWebサイトを通して共有する仕組みと、その利点についても体験できるものとしました。

前半のワークショプはLED照明装置を題材としました。プログラマブルなフルカラーLED照明ユニット「BlinkM」を光源として用意し、そのシェードをラピッドプロトタイピングしました。サンプルとして立方体の展開図をIllustratorファイルとして提供し、立方体の各面にカットするパターンをデザインすることから始め、展開図自体を自分で考えるプロセスへと進みました。CraftROBOでの出力に関してはワークショップアシスタントがサポートし、フォームと照明効果のデザインに専念する環境を整えました。最初のリフレクションから参加者のコメントは多く、互いにインスピレーションを得る場となりました。例えば、「光源が見えないほうがいい」という反省の声から、次フェーズで他参加者が二重のシェード構造をとりいれたプロトタイピングを行なうといった共有されたデザイニングの良い事例も現れました。

後半のワークショップでは、前半の意匠的な側面にフォーカスしたものとは対照的に、撮影用ライトボックスという機能をもった照明をラピッドプロトタイピングを行いました。照明部分は市販の電球型蛍光灯を利用し、撮影対象の形状に合わせたライティングをデザインするために、Illustratorで展開図を作成して、スチレンボードを素材としてレーザーカッターで切り出しを行いました。レーザーカッターでの出力は前半と同様にワークショップアシスタントがサポートする形をとり、機器の使用方法ではなくラピッドプロトタイピングにおける試作とリフレクションをワークショップ内で何度も繰り返せるようにしました。参加者は、自作の撮影用照明で前半のワークショップで作成したLED照明を撮影後、Web上の写真共有サービスを通じて共有することで、より参照しやすい撮影記録の方法を模索して、様々なモノの形状に対応する照明装置の試作を行いました。モノの特徴にあわせたデザインは勿論、用途を考慮した拡張性を持つ照明など、レーザーカッターを利用して迅速に加工組立が可能なラピッドプロトタイピングならではの試作の成果を見ることができました。